ぱりぱりにやぶれてママになりました
野に咲くお花(第一回「蜂の日大会」入選句)
今年8月の「蜂」主催大会から。題は「8年前(2018年)の印象・気持ち・経験」、選者は大塚凱。
句意としては、出産のことだろう。だから「ぱりぱりにやぶれて」いるのは母体のことだとまずは解釈できる。「ぱりぱり」というオノマトペはスナック菓子の食感を思わせる。その軽さは、出産という事柄の重みに対して逆方向に釣り合おうとするかのようである。ぱりぱり「と」ではなく「に」である点にも注意したい。それは、「やぶれ」るときどういう感触がするかではなく、むしろ「やぶれ」た結果どういう状態になったかにピントを合わせている。だから、この句の「ぱりぱりに」は、「ぼろぼろに」「ちりぢりに」といった表現に通じる響きを持つ。何かがぱりぱりにやぶれてしまった。人体にもスナック菓子にも正確には当てはまらないこの表現には、現実そのものが破れることに伴う痛みが宿っているかもしれない。これは子供の誕生を詠んだ句であると同時に、ぱりぱりにやぶれた後に姿を現わしているのは「ママ」でもあるのだと思う。
出典:第一回川柳結社蜂全国大会「蜂の日大会」結果発表
https://note.com/senryubachi/n/n99bbac93aa9b