レシートが長くて川を渡りそう
八上桐子『hibi』(港の人、2018年)
長いレシートを見るたびに思い出してしまう句。川のこちら側からあちら側へと移動するという意味の〈渡る〉ともとれるが、橋渡しの「渡」、此岸から彼岸へと届くほどの長さにまでレシートの長さが及ぶという意味にもとれる。機械から出力されつつあるレシートを描写する言葉としては、じつは後者のほうが適切だ。白髪三千丈と言うけれど、この句もスケールは小さいものの同じような〈悠久〉を詠んでいる。たかがレシートでと思うかもしれないが、実際にレシートが印刷されていくのを見ながら、いくらなんでも長すぎないか、どこまで伸びるんだ、と感じたことが誰しもあるだろう。その一瞬の、気の遠くなるような感覚をこの句は言いとめている。