SENRYU REVIEW

それいゆるうぺ

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休日  体温をゆすつてみよう

服部たかほ /『川柳ジャーナル』通巻37号「同人作品」(1966)

平日、体温はカサカサ申し訳ない音をたてる。
その体温がぼくのものなのか、あなたのものなのかわからない。最初にゆすってみようとしたのはどっちだったか。それもおもいだせない。でも、ゆすれると知ってからはゆすらずにいられなくて、それでぼくたち、それからすべての平日、あのカサカサいう音をききつづけてきたんだけれど。ただこれが休日となるとどうなのだろう。もうすこしたぷん、たぷん、と鳴ったりするものなのだろうか。そもそも怒られたりはしないだろうか。折角の休日なのにゆすったりなどして。それに、もしゆすってみたときに鳴った音があの、カサカサいう平日の音だったら……!とおもうと、ますますこわくなってくる。こわくなって、それで、ゆすってみれなくなってしまう。でも、それでも、休日だって、平日だって、それはたしかな一日──人間が社会生活を営むにあたって世界からもぎとった二十四時間──であるはずだ。一日が一日であることをぼくたち、信じている。信じなおす。だからやっぱり休日には休日の激しさでもってゆすってみよう。体温を。体温。体温は体温から起床するのだとおもう。体温をゆすると、たしかにゆすっている手ごたえを感じる。それは見えない。見えないけれど、触れることができて、きこえて、そこに柔らかく沈む肉感があって、くしゃっと萎れる皮膚感があって、転がせば転がせて、いる。いるのだ。起こしてあげよう。今日、この休日にも。体温を。そいつが見えない駄々をこね始めてから身震いし起き上がってくるまでのその顚末を、ぼくたち、ぼくたちに可能な感覚すべてでもって、絶対的に感受してみよう。