SENRYU REVIEW

それいゆるうぺ

「蜂」会員による一句評を掲載しています。毎日更新。

五の次は十中八九七だろう

平岡直子『Ladies and』

 二〇二二年に左右社から刊行された川柳句集です。数字が多いです。数字が並んでいて、ひとつのフレーズとして、上から下へ、横書きなら左から右へ、読み下すのがどうにも難しいと感じます。問題は中七からの数字の連続です。そこで数字の桁数を数えてしまい、あ、ちがうこれは一個一個文字として読むんだ、第一二番目の文字は数字ではないではないの。画数が近いから見間違えてしまう。――とここまで2秒くらい逡巡してから、上から下へ文字ひとつずつを読み下します。そして、この句が正しく五七五の音数律をまもり、何なら句割れも句跨りもなく、言葉にも無理がなくながれていることを知ります。でも普通、五の次は六じゃありませんか? というように五の次は六だと説明されて納得してしまうことへの抵抗を、七が背負っています。そこで気がつきました。私たちの携わっているのは日本の伝統定型詩形です。この句はどうしようもなくあたりまえのことを言っているだけじゃないですか。すみません。
 真面目に定型論としてこの句を見ると、五の次は七があたりまえであることを疑え、と喝破されているようにも思い、また、五の次は七であることに固執する必要はないのだ、と唆されているにも思います。どちらにしても、川柳であれば中七が七であることを潔しとしない姿勢が、この十中八九に入らないものの存在へ、思いがどうしても行ってしまうのです。