はらはらと金輪際が降って来る
なかはられいこ『くちびるにウエハース』(左右社、2022)
「金輪際」がなんだか七夕のキラキラした飾りのように見える。それは彼方の高い所から、太陽の光を受けて翻りながらはらはらと地上に到達しようとしている。作者はある瞬間に、優雅に空から降って来る金輪際を感じたのだろうか。
金輪際、あの人とはもう口をきかない
金輪際、私がこの場所に来ることはない
それは美しい天啓のように煌めきながら降りてきた決意なのかもしれない。
最初にこの句を見た時、今まで字形として認識していなかった「金輪際」の美しさに気付いて、この一句ごと「金輪際」のイメージとして定着してしまった。
そもそも『金輪際』は仏教の世界観のひとつ宇宙論からきていて、『金輪』は大地を支える3つの輪『三輪』の1つとされている。
(『風輪』『水輪』『金輪』)
要するに地下にあるのだが、この句の映像が鮮やかすぎてわたしにとって『金輪際」は、はらはらと頭上にいつか降ってくるものだということになってしまった。きっとその時にはこの句が頭に浮かぶに違いない。