SENRYU REVIEW

それいゆるうぺ

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くちびるの進水式に来ませんか

滝口然 第二回「巨大賞」の一席より

第二回「巨大賞」の一席より。題は「嬉しい」(詠み込み禁止)。進水式とは新造船を初めて水に触れさせる作業のこと。お誕生日みたいなものだろうか。おめでたさに加えて、読んで字のごとく物体が水に触れつつ前に進む運動そのもののおもしろさもある。その〈ver.くちびる〉となると奇妙なエロティックさとグロさもあいまって、本当は誰も参加してはいけないセレモニーな気がしてくる。来ませんか、と誘われても、ちょっと遠慮したいような……でもやっぱり行きたいような……。「嬉しい」の題で詠まれたコンテクストを踏まえると、語り手が善意を持って話しかけて来てくれているということも透けて見えて、言外の情報操作も巧みな一句だと思った。確かに、誘われること自体は(関係性によるが)嬉しい。モノ化した〈くちびる〉の迫力!