あおむけになるとみんながのぞきこむ
佐藤みさ子『はじめまして現代川柳』
優しい句だと思う。「みんな」から逸脱した行動をとっているけれど「みんな」から見放されていない。「みんな」は気にかけてくれる。ちょっとピクミンっぽさも感じるような。
俳句では因果関係を描くことが少し嫌われている。偶然の中に必然を見出すのは読者の役割、更に言えば読者の楽しみで、それを作者側から封じてしまうのがよろしくないのだと思う。だから私は簡単には因果関係を見出せない両者を[已然形]+[ば]の形で繋いでしまう句が滅法好きだ。想像の楽しみは残されていながら、表面上は因果関係を詠んでいる。Aするとき必ずBになると言われているような、偶然のはずなのにあたかも必然のような顔をしているのが刺激的だった。
佐藤みさ子の掲句はそこまでの刺激を持っているわけではないけれど、「あおむけになる」とき必ず「みんながのぞきこむ」という事に対する大きな信頼を感じる。でなければこんなこと書かないだろう。「作者にとって価値のあることが書かれている」という前提に立つとき、薄味の句は淡泊な感動を持って;しかし静かな自信を持って私の前に立っている。