SENRYU REVIEW

それいゆるうぺ

「蜂」会員による一句評を掲載しています。毎日更新。

旗艦店するどい余白を売っている

石田蕨 せんりゅうタッチ 1stRound 第ニ巻

凛とした佇まいを感じる。
ただ立っている。その事実だけがある。
流行に流されなくて偉いとか、あの人は自分を持っているとか、そういうのはすべて後付けでいい。ただ、そういうものを売っていた。それだけのこと。

はじめて読んだときそのクールさにしびれた。かっこいいな、とつぶやいた気がする。「旗艦店」とはブランドイメージをアピールする中心的な店舗のことらしい。知らなかったのだが、「するどい」「余白」とその字面が、凛とした佇まいできゅんとした。

「するどい」は平仮名じゃない方が鋭いのに、それは開いて書くんだなあとか、気になることがたくさんあるのに、流れていくとかっこよかったことしか覚えていない。それぞれのソロパートがやられたあとのサビみたい。

何もいらなかった。準備したものも、流行りものも、誰かに合わせた服装も、見栄も、喜びすらも見えなくなって。
ただ余白が売れる。

それは寂しいけれど、人類が滅んだあとみたいですてき。ガスマスクをした宇宙人やパンダ、生き残った者だけが歩く街。見ていられないものはなくなって、何もないけれど居心地のいい街になって、なぜか未だにある、ビックカメラの新宿店で売っているのはさ。もちろん、歌も滅んでる。
旗艦店をスルーして歩く、ヒールの低い女が浮かんだ。かっこいいね。