SENRYU REVIEW

それいゆるうぺ

「蜂」会員による一句評を掲載しています。毎日更新。

知能犯いっぱいパンに挟みたい

楡原級「🍉たべもの川柳60句🍉」(2026年蜂の日)

サンドイッチの具材にしては、そのままの知能犯は細長すぎるか塊すぎて食べにくいから、うすくスライスしたりほぐしたりペースト状にして塗ったほうが食べやすいのにな、とまで読んで、〈挟みたい〉のだから食べたいかはまだわからない。このパンはバネ式のネズミ捕りとかトラバサミとかの罠で、あくまでパンで知能犯をたくさん捕まえたいのかも。知能犯の裏をかくためのパン。知能犯を捕まえるんだから警察っぽいけど、実際に捕まえる立場でなくともパンに挟まっている知能犯100人くらいの姿を想像して留飲を下げたい観客みたいな第三者のほうがしっくりきた。たぶんこの願いは叶わないと思う。なんたって知能犯は賢いから、一人捕まえるのも難しそう。
でももし首尾よく知能犯を1000人くらいパンに挟むことができたあとはどうするんだろう。ちょっとまえに、茶色い固そうな外国のパンにカラフルな野菜や果物や海産物や肉類やなんやかんや厚く挟んで紙で包んでから切って、その断面の写真をSNSにアップするのが流行っていたっけ。最終的には食べるけれども、やっぱりみんなに挟んで切った知能犯たちの断面も自慢したいよね。
そして、その知能犯サンドを食べたら、やっぱりちょっと体に悪いけど頭がよくなりそう。よくなりそうだから、また食べたいなと思うだろうし、しばらくしたら知能犯にも飽きて、別の犯も試したくなるんだろうなとおもう。
こういう叶いもしない暴力的な妄想もパンを持ち出されたら、ちゃんと隠せそうと思えるし、わくわくする。ちょっといいパン屋さんで買い物するのはすごくうれしいんだから、ちょっとグロテスクでもまあいいかって思える。